コロナも依然続いている状況の中、企業で検討することが必須となっている「テレワーク」について、本日は書いていきたいと思います。
テレワークとは、ICT(=情報通信技術)を使ってオフィス以外の場所で仕事をすることを言います。在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務の3つの形態がありますが、コロナ禍で企業の多くが導入したのは在宅勤務と言っていいでしょう。
厚労省から「テレワークの適切な導入および実施の推進のためのガイドライン」というものがあり、今年の3月に改正もありました。
そのガイドラインの中で、テレワークを行う上での労働時間について、「柔軟な対応を求める」内容が盛り込まれ、「フレックスタイム制や事業場外みなし労働時間制の活用の検討」があげられました。
フレックスタイム制と事業場外みなし労働時間制のちがい
テレワーク、特に在宅勤務において、この二つの労働時間制の活用が推奨されたという見方ができるのではないかと思っています。では、この二つの労働時間制間のちがいは何でしょうか。
まずフレックスタイム制とは、始業・終業の時刻を従業員の自由な裁量にゆだねることとし、一定期間(最大3ヶ月。1か月で運用することが多い。)について定めた総労働時間の範囲内で弾力的に働くことができる制度です。
これはどういうことか簡単に言うと、通常なら1日の所定労働時間を8時間とすると、8時間をこえて働いた時間を残業時間として扱うところ、1日単位では超過時間を見る必要はなく、一定期間(例えば1か月)にあらかじめ定めた総労働時間に対し超過した労働時間分を残業時間として扱えばいいということです。一方で実際に働いた時間が1日8時間に満たなかった場合も、1日においては不足時間として扱わず賃金控除の対象としません。
このように一定期間において弾力的に労働時間を扱うような労働時間制にはほかに、1か月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間制などがあります。フレックスタイム制は、これら弾力的労働時間制の一種にカテゴライズされます。
みなし労働時間制
一方、事業場外みなし労働時間制は、実際の労働時間にかかわらず一定時間働いたものとみなす「みなし労働時間制」のうちのひとつです。ほかに裁量労働制があります。
簡単に説明すると事業場外みなしというのは、従業員がオフィス以外で勤務することで労働時間を算定しがたい状態に該当した場合に適用し、原則的に所定労働時間働いたものとみなすことができる制度です。
どんな状態が労働時間を算定しがたい状態に該当するかと言うと、情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態にしておくこととされていないことや、随時使用者の具体的な指示に基づいて業務をおこなっていないなど、ある程度自由な働き方をしている状態です。
事業場外みなし労働時間制を適用する場合には、みなし時間と業務量が適正かどうかという点、働き方の実態が要件の状態となっているかどうかなどの注意が必要です。
在宅勤務において、あげられた二つの労働時間制のほかにも、これまで適用してきた通常の労働時間制を使用することはもちろん可能です。
ただ、在宅勤務を実際やってみると、家庭という暮らしの空間の中で当たり前に生じるような家事や子供のいる家庭ではその対応で、仕事とそれ以外が混在してしまうのはいたしかたないと思えます。
そういう意味でも、労働時間制に柔軟さを持たせることの検討が示されたというのは、自然な流れと言えるかもしれませんね。
いずれの労働時間制を適用する場合も、企業でルール化しておかなければいけないことにちがいはありません。在宅勤務を始める前に、あらかじめよく検討し、ルールを策定しておきましょう。
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